市役所では異動ががあります。
「市役所内の異動は何年ごとにあるの?」
「移動先は誰がどうやって決めるの?」
「異動の希望は出せるの??」
市役所職員を目指す方なら気になる異動のあれこれについて紹介します。
異動の時期
異動は毎年あります。
基本的には、4月1日付で異動があります。つまり、4月1日に新しい部署に変わって、働き始めるということです。
ほとんどの職員がその時期に異動します。
しかし、それ以外にも不定期で異動もあります。
市民病院等はお医者さんや看護師さんの入れ替わりが激しいので、3か月に1回程度は異動(採用、退職含む)がありました。
それから、職員の体調不良により、不定期に異動が発生するということも多いです。3か月に1回くらいはあるでしょうか。
特に、職場の人間関係や市民との折衝疲れによる過度なストレス、激務による過労からくる体調不良が多いです。
そういう場合は、その職員が来なくなるか、診断書をもって人事課に直談判する等して、異動が決まります。
1人が動くと、移動先の部署も1人動きますし、異動元にも他部署から人を動かさなくてはならないので、スライドパズルのように何人かがその際は動きます。
最後に、若い職員が突然辞めることによる異動。6月、10月、3月等不定期ランダムに退職がありました。理由として多いのが、転職です。
市役所で数年働いてみたものの、人間関係や仕事に面倒なことが多く、役所のお堅いルール、少ない給与、イベントでの土日出勤等、嫌気がさして突然やめていくというものです(転職が決まってない場合もあります)。結婚していない職員は確率がかなり高いです。これは、市役所だけでなく、国家公務員や県でも一定程度あるかもしれません。
私は県でも働いていましたが、感覚的には市役所の若い職員の離職率のほうが多い気がします。
こういった場合、補充されずに、欠員になったままのことが多いので、残った職員に負担がかかります。
市役所の異動の発表は1週間前!?
4月1日付の異動の発表はだいたい1週間前くらいです。
3月21日~24日くらいにだいたい発表されます。
私が働いていた市役所では、発表の日は、事前に知らされていました。
先に部長、課長が市長室に呼ばれ、辞令を渡され次の部署を知らされます。
それ以外の職員は次の日の13時以降に各部の部長が辞令を渡します。
そして、17時に、市役所内のメールや掲示板等の庁内システムで全ての職員の異動が掲載されたPDFファイルが送られたり、掲載されたりします。
だいだいどこの自治体もこのようなスケジュール感で動いていると思います。発表の日は、みんな朝からそわそわしています。
異動が出来るのか、希望した部署へ異動できるのか、嫌な上司、同僚、部下と一緒にならないか、同僚の出世等々気になるのです。
異動の1週間前に発表なので、異動が決まった職員は引き継ぎの準備で異動までの1週間は連日残業なんてことも多いです。
ちなみに、市役所でも国や県へ出向することがあります。その場合の内示は2ヶ月くらい前に内示がありました。
1月くらいに突然人事課に「○月○日に第1会議室に来てください。用件はそのときお話しします」と突然電話があったことがあります。
行ってみると、県への出向の話でした。組織外への異動となると、引越等家族の協力も必要なことがあるため、早めに通達しているのでしょう。
異動届、異動希望の提出と反映について
市役所によって呼び方は異なるかもしれませんが、異動の希望を出す異動届、異動希望書、人事希望調査等があります。
私がいた市役所では10月頃に庁内システムで異動届を出すようになっていました。
人事課から職員への一括メールで連絡が来てシステムへ入力するよう指示がありました。
仕事も忙しいので、日頃から次の異動について考えておいた方がいいと思います。急には書けないです。
異動届出書の内容
内容としては、以下の通りです。
1:基本事項
氏名、年齢、住所、電話番号等。前回と変更があれば修正する程度です。
2:キャリア
いつ市役所に採用されて、どの部署を何年にいたかを入力していきます。
採用前のキャリアについても記載していました。
ここも前回と変更があれば修正する程度です。
3:家族構成
同居家族の名前、年齢構成、修学状況等を入力します。
育児や介護等家族の状況を鑑みる必要がある場合に参考にすると思われます。
4:健康状況
自分の健康状況を記載します。
入院をしたり、服薬したりと持病が有る場合はしっかり記載します。
最近は人間関係や仕事のストレスで鬱病や適応障害を発症する職員が多いのでそれもしっかり記載します。
激務の場所へ異動されたりして、更に病状が悪化する場合もありますので、正直に詳細を書いておきましょう。
症状、通院、服薬状況等を詳細に書くことで、信用性も高まります。
5:資格取得状況
何か資格を持っていれば記載します。
よくあるのは自動車の運転免許です。
他にTOEIC、英検、土木関係の資格、建築士、保健師、看護師、栄養士等の資格等持っているものを記載しましょう。
資格が必要な専門職については、基本的には採用前に取得していますのでそれを記載しておきます。
英語関係の資格を持っておくと、国際関係の部署への異動に考慮される可能性が非常に高いので、希望する場合は書いておくといいでしょう。
持っていても希望しない場合は、書かない方がいいです(^_^;)
6:異動希望
一番重要な項目です。異動を希望するかしないか。異動を希望するならどこを希望し、そこで何をしたいか(抱負)を記載します。
希望部署は3カ所まで私がいた市役所は出せました。
異動したいなら、異動先でどんなことをしたいかをしっかり書いておきましょう。○○という課題があり、それには○○が解決に有効で有り、その事業を立ち上げたい。。
なんて具体的に書いておくといいと思います。
7:昇任希望
昇任したい、昇任したくない、どちらでもよいの3つの選択肢でした。
昇任すると業務量が増える部署が多いので、あえて昇任したくないと希望する職員も多いです。
8:その他
人間関係等、異動に当たり鑑みる必要がある場合に記載します。
現在、人間関係で悩んでいる、○○さんとは過去人間関係で苦労し体調を崩した、○○部署の○○業務は業務負担や不安が多い、現在○○案件で精神的にしんどい等々正直に書いておきます。
人事課にそれを伝えておくことで、適切な配置をしてもらいましょう。
異動届の人事異動への反映
全ての人の異動届の希望が人事異動へ反映されることはまずありません。
市役所の人事異動は基本的には上の幹部が退職し空いたポストに下の職員を次々スライド昇任させ、最後に空いた一番下のポストを新規採用者で補充するという機械的なスライドパズルをするため、全ての職員の異動希望を反映させるのが難しいのです。
私の場合、希望もしていなかったし、想定もしていなかった文化スポーツ課に異動することもありました。
私がいた市役所では職員があまり反映されていないと感じていたので、人事課は異動届を見ていないんじゃないかと言う職員もいました。
しかし、一方で、体調不良等による希望はわりと反映されていたようです。
癌の手術で入院した上司は、本庁より出先を希望し、異動し、そのまま退職までずっと出先機関をまわっていました。本庁は議会等で業務量も多くストレスに耐えられないと言っていました。
上司との関係で不眠等の症状が出ていた同僚は別の部署へ異動の希望をだし、異動されました(診断書を人事課に提出したようです)。
こういった方は事前に、異動届に希望や症状を記載するだけでなく、人事課に直接言うか、上司や職員の心の相談窓口(どこの自治体でも保健師や外部のケアラーを整備されていると思います。)に事情を伝えて間接的に人事課に情報を伝えていたようです。
もし、本当に人間関係や病気等で異動したいなら、異動届に書くだけでなく、人事課に伝えた方がいいと思います。
課長への聞き取りも重要な要素
人事課は各課長への人事に関する聞き取りを行っており、これも重要な人事異動の要素になります。
これは課長が現在の課の体制における課題をを説明し、体制について要望を人事課にするものです。
〇〇業務で負担が多く、残業も多いため、人員を増員してほしい等、人事課に対し要望していきます。
この際に残業の実績も出したりするので、人事課はこれをもとに次年度の採用計画やそこの体制変更を検討します。
といっても、そう簡単に人員を増やせるというはずもなく、簡単に部署の職員が増えることはありません。
そこの職員の残業時間の実績が本当に多く、課長が具体的に説明をして、業務に支障が出ることを説明できるかにかかってきます。
それから、健康上気になる職員、仕事がよくでき昇任可能な職員、逆に勤務態度が悪く仕事ができない職員もこのとき報告します。
異動届も重要ですが、課長からもこのように人事課に報告説明があるため、もし体調が悪かったり、人間関係で悩んでおり異動を希望する場合は、課長に伝えておくといいと思います。
組織外、首都圏、海外への転勤
市役所の組織外への異動としてまずあげられるのは、国、県等の他の自治体があります。
私がいた市役所ではだいたい2年くらいの期間で、20代~30代の若手職員が行くことが多かったです。
観光課から国の観光庁へ、商業企画課から国の経済産業省へ、農林課から県庁の農林水産部へ、総務課から首都圏の県の出先事務所へという風に異動が有り、2ヶ月前くらいに人事課から突然呼ばれ内示がありました。
地方の市役所ですので、首都圏(東京)に異動が決まると喜ぶ職員も多くいました。結婚して子供がいるとなかなか行けないので、希望するなら独身のうちがオススメです。
市役所の組織外の異動として次に挙げられるのは、観光協会等の市の関連団体への出向です。
観光協会へは常時市の職員が在籍する自治体も多いと思います。イベント業務が多くなります。
最後に海外への異動ですが、自治体により沢山あるところもあれば、ないところもあります。
市の目玉施策として、海外企業の誘致等をやっているところではあれば、海外へ職員をよく派遣しているところもあるようです。
私がいた市役所は、シンガポール、オーストラリア、スペイン、アメリカ、イギリス等に3年ほど行っていた職員がいました。
よくあるのは一般財団法人自治体国際化協会というところがあり、そこに派遣されるというものです。
一般財団法人自治体国際化協会はクレアと呼ばれ(CLAIR:Council of Local Authorities for International Relations)は、ニューヨーク、ロンドン、パリ、シドニー、シンガポール、ソウル、北京に海外事務所があり、地方自治体から多くの職員が出向しています。
業務内容は、JETプログラム運営、国際交流や自治体の海外経済活動のサポート等多岐にわたります。
私がいた市役所では、1年間の東京本部勤務時に語学研修等を受け、その後に2年間の海外事務所勤務を行う形態で海外に行っていた職員が多かったです。
海外での勤務が終わると、帰ってきてから国際課等の部署に配属され関連業務を担っていました。中には子供がいる職員もいて、家族で海外に2年間滞在していたようです。
語学が出来るようになると業務の幅が広がりますので、募集があれば是非応募すればいいと思います。これも家族がいると希望したくても出来ないこともあるので、独身の自由なときに行けるなら検討するといいですよ。
この出向については一般財団法人自治体国際化協会が募集しています。
市役所の人事課をとおして、募集が来ていましたが、連絡が無い場合は、自分で人事課に相談するとよいでしょう。
行く前からオンライン英会話等で語学力を磨いておくと、現地で充実した勤務が出来ると思います。