市役所の職員の実際の給与額はいくらか。
総務省の令和2年地方公務員給与実態調査結果によると、市役所の一般行政職の平均給与月額は392,985円(このうち、給料は316,209円、諸手当は76,776円、職員の平均年齢は41.9歳)です。町村役場の平均給与月額は350,876円(このうち、給料は302,270円、諸手当は48,606円、職員の平均年齢は41.3歳)です。町村の職員より、市の職員のほうが高いのが分かります。
一方、都道府県の平均給与月額は413,722円(平均年齢42.8歳)であり、県庁の職員と比べると、やや少なくなっています。
出典:総務省 令和2年4月1日地方公務員給与実態調査結果
ちなみに、この総務省が出している地方公務員給与実態調査では国家公務員と比較するため、国家公務員の公表資料と同じベース(時間外勤務手当等を除いたもの)も調査しており、国家公務員の平均給与月額が408,868円なのに対し、市役所は357,276円と、50,000円近くの差がありました。
自治体別に知りたい場合は、「○○市 人事行政概要」と検索してみて下さい。各市町が毎年給与を公開しています。
例えば、青森市で検索すると、「人事行政の運営等の状況」という形で、出しており、平均給与は380,454円(職員の平均年齢41.8歳)となっています。
出典:青森市 人事行政の運営等の状況
市役所の職員の初任給はいくらもらえるか。
総務省の令和2年地方公務員給与実態調査によると、市役所の大学卒業者の初任給は平均で184,539円です(諸手当は含んでいません)。
市役所の高校卒業者の初任給は、平均で152,868円です。
ちなみに、人事院の令和2年職種別民間給与実態調査によると、大学卒業者の新卒事務員の初任給は204,584円となっており、民間企業より少なくなっています。
出典:総務省 令和2年4月1日地方公務員給与実態調査結果
市役所の職員は○歳になったらいくら給料がもらえるか。
総務省の令和2年地方公務員給与実態調査によると、年齢別の平均給与(諸手当込み)は下記の表のとおりになっています。
ただし、地域のよってだいぶ差があります。地方の市役所はこれよりまだ少ないかと思います。
出典:総務省 令和2年4月1日地方公務員給与実態調査結果
こちらも自治体別に知りたい場合は、「◯◯市の給与・定員管理」で検索してみてください。
例えば、青森市は「青森市の給与・定員管理について」で経験年数別の給与を公開していますので参考になるかと思います。
市役所の職員の昇給制度
市役所では、給料表があり、それに沿って給料が決まります。給料表は職種によって違います。例えば一般行政職(事務職)と医療職(市民病院等の医師や看護師)では違ってきます。
1つの給料表は下のようになっており、複数の級があり、更に1つの級の中に号があります。級や号の数については、自治体により異なりますが、級と号で職員の給料が決まります。
号 | 1級 | 2級 | ・ | ・ | ・ |
1 | 146,100円 | 195,500円 | ・ | ・ | ・ |
2 | 147,200円 | 197,300円 | ・ | ・ | ・ |
3 | 148,400円 | 199,100円 | ・ | ・ | ・ |
4 | 149,500円 | 200,900円 | ・ | ・ | ・ |
5 | 150,600円 | 202,400円 | ・ | ・ | ・ |
6 | 151,700円 | 204,200円 | ・ | ・ | ・ |
7 | 152,800円 | 206,000円 | ・ | ・ | ・ |
8 | 153,900円 | 207,800円 | ・ | ・ | ・ |
9 | 154,900円 | 209,400円 | ・ | ・ | ・ |
10 | 156,300円 | 211,200円 | ・ | ・ | ・ |
・ | ・ | ・ | ・ | ・ | ・ |
・ | ・ | ・ | ・ | ・ | ・ |
・ | ・ | ・ | ・ | ・ | ・ |
級はその職務の複雑さ、困難さ、責任の度合い等により分けられていますが、実質は役職ごとに級が分けられています。
例えば青森市の級は下記の表のようになっています。青森市は級は9つあります。見て分かるように、基準となるべき職務は、「部長の職務」のように役職で分けられています。
職務の級 基準となるべき職務 一級 主事又は技師の職務 二級 高度の知識又は経験を必要とする主事又は技師の職務 三級 主査の職務 四級 主幹の職務 五級 高度の知識又は経験を必要とする主幹の職務 六級 課長又は副参事の職務 七級 次長又は参事の職務 八級 部長又は理事の職務 九級 重要な業務を所掌する部長の職務
級が上がることを、「昇格」と言います。昇格するには、最低でも1つの級を何年経験しなくてはいけないという在級年数というのが、各自治体の条例で定められており、2年から4年で設定されているところが多いです。
また、号が上がることを、昇給と言います。昇給については、例えば、職員の成績がABCDEのように5つくらいに分けられ、Aであれば5号アップ、Bであれば4号アップ、Cであれば3号アップ、、、のように条例で定められています。
気になる市役所の手当て・ボーナス(期末手当・勤勉手当)
市役所の主な手当は下の例ようになっています。
多くの職員が支給をうける手当としては、扶養手当、住居手当(賃貸住宅に住んでいる人のみ、持ち家の場合はなし)、通勤手当、管理職手当(管理職のみ)、期末手当、勤勉手当です。
単身赴任手当、特殊勤務手当は限られた職種や部署の人のみの支給になります。
自治体により手当の種類、数、額が違いますので、正確なものを知るには、「自治体名+給与+条例又は規則」で検索してみて下さい。
また、支給できる手当は、地方自治法第204条第2項で挙げられており、これ以外の手当支給は禁止されています。
扶養手当 | ・配偶者叉は父母など 行政職給料表7級相当以下・・・6,500円 行政職給料表8級相当・・・3,500円 行政職給料表9級相当以上・・・支給しない ・子・・・10,000円 ・満16歳の年度初めから満22歳の年度末までの子・・・1人につき5,000円を加算 |
住居手当 | 家賃23000円以下・・・家賃-12000円 家賃23000円超・・・(家賃-23000円)×1/2+11,000円 ※上限27000円 |
通勤手当 | 通勤距離が2km以上の場合支給 ・バスなどの利用者・・・限度額55000円 ・自動車などの使用者・・・距離区分により2,000円から24,500円(自治体によりかなり変わります) |
単身赴任手当 | 月額3万円。 |
管理職手当 | (例) 部長・・・44400円 部次長・・・40100円 課長・・・32900円 主幹・・・28800円 ※管理職には時間外手当は支給されません。これは、労働基準法41条で,管理監督者は,労働時間・休憩・休日の規定が適用されない旨を定めているからです。 |
期末手当 |
(給料+扶養手当+地域手当)×1.275×2回(6月と12月) ※職員の在職期間に応じて支給されるもので、民間のボーナスのうち固定的・生活給的な支給分に相当します。 |
勤勉手当 (民間企業のボーナスに相当するもの) |
(給料+扶養手当+地域手当)×(0.9~0.95)×2回(6月と12月) ※職員の業務実績等に応じて支給されるもので、民間のボーナスのうち、成績査定分に相当します。 |
【特殊勤務手当】・・・職種により支給されるものです。
手当の種類 | 手当の支給を受ける者の範囲 | 手当の額 |
徴税特別手当 | 1 督促徴収に従事した職員 | 1日について200円(ただし、1日の従事時間が3時間を超える場合に限る。) |
2 物件差押に従事した職員 | 1戸につき 250円 | |
3 差押物件引揚に従事した職員 | 1戸につき 400円 | |
感染症予防手当 | 1 感染症(4類感染症を除く。以下同じ。)の病原体に汚染された場所又は汚染された疑いがある場所等の消毒に従事した職員 | 1日につき 500円 |
2 感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがあるねずみ族、昆虫等の駆除に従事した職員 | ||
3 感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある飲食物、衣類、寝具、その他の物件の消毒に従事した職員 | ||
行旅死亡人等収容手当 | 1 行旅病人の収容作業に従事した職員 | 1件につき 1,500円 |
2 行旅死亡人の収容及び仮埋葬、死体発掘等の作業に従事した職員 | 1件につき 2,500円 | |
3 犬、猫等動物の死体収容作業に従事した職員 | 1件につき 500円 | |
4 犬、猫等動物の収容作業に従事した職員 | 日額 500円 | |
福祉事務従事手当 | 1 ○○荘入所者の死体を取り扱う業務に従事した職員 | 1件につき 2,500円 |
2 生活保護事務に従事する社会福祉主事 | 1日につき 300円(ただし、生活保護世帯への訪問、被保護者の通院に同行する等の用務に従事した場合に限る。) | |
清掃業務従事手当 | 災害の発生に伴い、じん芥の収集、処理作業に従事した職員 | 1日につき 550円 |
(ただし、1日の従事時間が3時間30分以下の場合は300円とする。) | ||
地籍調査手当 | 地籍調査のため現地調査に従事した職員 | 1日につき 250円 |
(ただし、1日の従事時間が3時間を超える場合に限る。) | ||
災害出動手当 | 火災又は水災等の災害業務に従事した消防職員 | 1回につき 380円 |
消防長が指定した機関員 1回につき 510円 | ||
救急出動手当 | 救急業務又はその補助に従事した消防職員 | 救急救命士1回につき 510円 |
消防長が指定した機関員 1回につき 370円 | ||
その他の救急隊員 1回につき 240円 | ||
救助出動手当 | 救助業務に従事した消防職員 | 1回につき 510円 |
消防長が指定した機関員 1回につき 640円 | ||
高所作業手当 | 地上10メートル以上の高所において、災害・救急業務に従事(はしご車による防災訓練等を含む。)した消防職員 | 1回につき 510円 |
(ただし、防災訓練等の場合は1日につき510円とする。) |
市役所の職員の退職金はいくら
総務省の令和2年地方公務員給与の実態調査によると、市の平均の退職手当額(退職金)は2,119万5千円 となっています。
出典:総務省 令和2年4月1日地方公務員給与実態調査結果
退職手当は、勤続年数によっても変わります。
もし、自治体別に知りたい場合は、「◯◯市の給与・定員管理」で検索してみてください。
例えば、青森市は「青森市の給与・定員管理について」で退職手当を公表しており、令和元年度における定年での退職手当は21,62万5千円となっています。