イベントの人集め
市役所に入ったら、イベントの担当者になることがあります。
成人式、子育て講座、経営セミナー、講演会、マラソン大会、観光イベント、スポーツ教室、地域のお祭り、教養講座、コンサート、○周年式典等々市役所が関わるイベントは多種多様で沢山有ります。
これらは、市が直接開催することもあれば、地域の団体(商工会議所、自治会、婦人会等々)と実行委員会や協議会という任意団体をつくり、そこが開催することもあります。
どちらにせよ、市役所に事務局を置くことがほとんどですので、実働部隊は市役所の職員ということになります。
イベント関係でうんざりすることのひとつとして、「人集め」があります。
イベントを開催するからには、人数をとにかく集めなくてはならないというのが市役所にはあります。
イベントの中には、トップダウンで決まり、担当者からしたら、こんなイベントに人が集まるか!と思うものも多数有ります。
しかし、担当者になったからには、イベントがどんなものであれ実行して人を集めなくてはなりません。
イベントに何人来たかというのが市役所の重要なKPI(成果指標)になっているからです。
Nさんは、ある地方の市役所職員で、ある年、スポーツを担当する部署に配属されました。
Nさんはあるマイナーな種目のスポーツを担当することになり、その観戦イベントをすることになりました。
「正直、こんな田舎でこのマイナースポーツに興味がある人間がどれだけいるのか?なんでこんなイベントするのかと思いました。でも前年の予算編成の中で、もう決まっていたことですので、やらざるをえませんでした。」
Nさんは、市報や市のHPに掲載したり、プレス発表をしたりしました。定員は100名です。
締め切り15日前に集まったのは、たったの3人・・・
「やっぱりねと思いましたね・・・」
Nさんは上司に相談。上司は小学校、中学校、高校、大学の部活、社会人のスポーツチーム、スポーツ少年団、各スポーツ協会、色んな団体に出席についてお願いするよう言いました。
「お願いして出席してもらうのは、イベントとしてもう終わっていると思いました。でも上司の指示ですし、嫌々ですがお願いしました。」
そして締め切り1週間前までに集まったのは、合計9人・・・
上司は、市役所の職員にお願いするよう指示しました。Nさんは、市役所の職員にイベントへの参加を呼びかけ、締め切りまでに集まったのは31人。
「本当に心苦しくてたまりませんでした。知人や先輩からも面倒くさいなあと言われましたし。泣きたかったです。」
イベント当日31人でなんとか開催をしたものの、地獄は終わりませんでした。
「当日は、上司が色んな人に、人が少なくてすいません!と謝っていて、それを言われる度に自分が責められているようで辛かったです。」
イベント後には、上司からもっと周知をしっかりしておかないとダメだと説教されました。
「マイナーな競技イベントをいきなり盛大にやろうとするのは無理がある。それに、周知方法は随時相談した。と反論しましたが、お前のやり方が悪かったの一点ばりで、、、正直納得いきませんでした。」
とNさん。
市役所ではこういったことがよくあります。特に幹部や関係団体のトップが理念だけで、現場を見ずにトップダウンで、イベントの開催を決めてしまい、担当者が右往左往することがあります。
市の職員に参加をお願いしたり、チケット購入をお願いしたりはよくあることです。
問題の一つは、目的に対し、イベント開催が適当なのか、イベントの規模が適当なのかをよく考えずに、イメージだけでイベント開催を決定してしまうこと。
先のスポーツイベントなら、マイナーな種目なら、もっと規模も小さくてよかったことですし、観戦イベントではなく、何かのお祭りの際に体験ブースを設けるところくらいから始めてもいいと思います。
もう一つは、集まった人数が成果指標になってしまっていることです。目標は人を集めることではなく、イベントで啓発し、市をどう変えるかです。そこを、見失って人集めに躍起になりすぎるのもおかしな話です。
最近では、人集めをするという企業も出てきており、委託するとこもあるみたいですが、中身はサクラだったりということもあるようです。
人数を集めるのも大事ですが、やり方と規模が適切なのか、考えた上でイベントを開催する必要があります。
とにかく、市役所に入ったら人集めに苦労することがあることは知っていた方がいいです。